死と再生というテーマ ユング心理学の本を読んでいて「死と再生」というテーマにたびたび出会うことに気がつきました。 肉体的な死と象徴的な死はかならず結びつくものではないですが、微妙なかかわりを持つものでもあるといいます。生死をさまよう体験をしたときに、それを転機としてそれ以降の人生が大きく変わるようなことがそうです。これは特別新しい考え方ではないですよね。夏目漱石が生死をさまよう大病をわずらったあとでその後の作品が変わっていった例、また精神科医であった神谷美恵子さんが若い頃結核になったが自分が死ななかったことが心の中で大きな部分を占めていたこと、作家の辻邦生さんも生死に関わる病気をしていたことがその後の作品に影響を与えていると思います。 このような死と再生のテーマを、河合隼雄さんが自殺との関わりについて述べたものがありました。自殺しようとする人が、象徴的な意味での死の体験を求めていることについてです。人は深い意味での死の体験によって、次の次元に生まれ変わることができる。このような体験を求めたが、しきれなかった(死の体験をしそこなった)ために自殺未遂を繰り返すことになるというものでした。 死の体験はいちどすれば終わるのではなく、その体験を繰り返しながら長い成長の過程をたどっていくものでもあるそうです。 死と再生についてのテーマは私にはまだよくわかっていなくて説明できない部分も多いです。また、みなさんそれぞれのとらえかたもあると思います。このテーマについてもっとよく知りたい方は、ユング心理学やその他死と再生に関する本を読んでみてください。
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